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第337話

「はあ……はあ……」 「ふふ、可愛い。やっぱりお前は最高だね、アクセル」 「もう、兄上ぇ……」  なんでこんなこと、と言外に非難したら、ジークが眉を顰めて言った。 「おいフレイン……。そんなラブラブっぷりを見せつけるんだったら俺は帰るぞ」 「ごめんね。この子が不安がるものだから」 「不安がるってなんだよ。お前さんたちの間には誰も入っていけないだろ」 「きみもそう思う? 私もそう思ってるんだけど、この子はちょっと心配性で。自分がいない間、きみと私が浮気するんじゃないかってずーっと心配してるんだ」  そんなこと本人を前に言っていいのか。内心ヒヤヒヤしていたら、ジークは呆れたように腕を組んだ。 「なんだそれ。弟くんは変なところ心配するんだな。それよか自分の心配した方がいいと思うぞ」 「ねー? 私もそう思うんだけど自分のことは無関心というか、すごく無防備なんだよね」 「だろうな。そんな能天気で大丈夫なのかね?」 「の、能天気って……」  そんな風に言われたのは初めてだ。自分では、どちらかというとしっかり者だと思っているので、「能天気」や「無防備」みたいな言葉とは縁遠いはずなのだが。  ――そりゃあ兄上のベッドで寝た時は、完全に挿入されるまで気付かなかったけど……。  あれはあくまで兄のベッドで眠ったからだ。もっと言ってしまえば、相手が兄だったからだ。違う人にやられていたら、あそこまでされる前に絶対気付く。  アクセルはやんわりと兄の腕を解き、離れた。そして軽く咳払いをして言った。 「ま、まあとにかく、兄上が浮気しないなら俺からは何も言うことはないよ。そろそろ訓練始めよう」 「ふふ、いいよ。あまり時間もないもんね。……それじゃあジーク、審判をお願いできるかい?」 「はあ……やれやれ。何だろうな、この茶番は。付き合ってやってる俺、めっちゃいい人じゃないか」  わざとらしく溜息をつき、ジークは二人から距離をとった。  アクセルとフレインも互いの武器を確認し、数メートルほど離れた。

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