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第369話
「ああ、手紙ね。それなら世界樹 のところにあるポストに入れておけば、すぐに届けられるはずさ」
「そうなのですか……ありがとうございます」
「あ、手紙を書くならレターセット必要だよね。あとペンとインクも。貸してあげるよ」
アクセルが何か言うより先に、バルドルは廊下を歩いて行ってしまった。アクセルも急いでついて行った。
彼が入っていったのは、とある書斎だった。壁一面にぎっしり本棚が並べられており、中央には木製の執務机が置いてある。
バルドルは机の引き出しを漁り、中からペンとインク、レターセットを取り出した。
「はい、どうぞ。足りなくなったらいつでも言ってね」
「あ、ありがとうございます……。でもこんなにたくさん、いいんですか?」
アクセルは少々戸惑いながら渡されたレターセットを眺めた。一日一通書いても数ヶ月はもちそうな量だ。シンプルながらに絵柄も四季折々で、タダでもらってしまうのが申し訳なく思えてくるほどだった。
するとバルドルは笑いながら言った。
「いいんだよ。私一人では到底使いきれないもの。きみも一緒に使って欲しい」
「は、はあ……。しかし、こんな綺麗なペンまで……」
「ああ、それはガラスペンだよ。長い手紙を書く時、こまめにインクを補充しなくて済むから楽なんだ。いっぱい持ってるから、是非使ってみて」
「ありがとうございます……」
「じゃあ、私はここで仕事してるから、手紙が書けたら教えてね」
「は、はい……」
そう言われたので、アクセルは与えられた部屋に戻り、机に座って早速手紙を書いた。
到着したばかりだが、書きたいことが次から次へと湧いてきてペンが止まらなかった。
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