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第379話

 昼食を終え、食器や鍋を片付けて、早速バルドルから「ヴァルハラのルールブック」を借りて部屋でよく読むことにした。  どこかの辞書みたいに分厚い本で、最初から最後まで目を通すにはかなりの時間がかかりそうだった。  ――でも、ざっと見た限りでは同居に必要なランクとかは書いてないな……。  万が一見落としがあったら困ると思って、「同居について」の項目をじっくり読んでみたのだが、「ランクが必要」みたいなことは一言も書いていなかった。  やはり、手続きさえしてしまえば兄と生活することは不可能ではなかったみたいだ。  ――ったく……もっと早く教えてくれよ……。  腹が立ったので、ルールブックを傍らに置いて、兄にまた手紙を書いた。今日一通出したばかりなので、明日またポストに入れて来ようと思った。  ――そうだ、あのポストも早めに何とかしないと……。  バルドルに許可をもらったら、真っ先にポストを作り直してやろう。あんな高いところにあっては、気軽に手紙を出せない。  途中まで手紙を書いたところで筆を止め、アクセルはルールブックに戻った。その後は夕食までルールブックを読み耽った。  夕食も、バルドルと一緒に調理した。昼間に鍋でシチューを作ったので、夜は小麦粉を練って肉や野菜を切り、ピザのようなものを焼いて食べることにした。我ながら上手くできたと思う。 「朝は何時に起きるとか、ありますか?」  夕食をとりながら、アクセルはバルドルに尋ねた。  朝食の準備をするなら、彼が起きる時間に合わせなきゃ……と思ったのだが、バルドルは少し首をかしげて言った。 「きみはいつも何時に起きてるの? こっちに来たばかりで疲れてるだろうから、好きなだけ寝てていいよ」 「……え。いや、そういうわけには……」 「いいんだって。慣れるまでは無理しないで。それとも、きみはいつも早起きしてランニングでもしに行くタイプ?」 「あ、ええと……ヴァルハラにいた時はそういうこともしていましたが」

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