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第388話

「あ、そうだ。きみに手紙が来ていたんだ」 「えっ……?」 「はい、これ。お兄さんからだろう?」  模様も何もないシンプルな白い封筒。そこに綺麗な文字で「アクセルへ」と書かれている。兄の字だった。 「あ……ありがとうございます!」  アクセルは手紙を受け取り、自室で早速開封してみた。昨日の今日で返事が来るとは思っていなかったから、さすがに少し驚いた。 「愛する弟へ  お手紙ありがとう。私は元気だよ。  手紙を受け取ってすぐに返事を書いてるんだけど、そっちにはいつ頃届くだろう? なるべく早く届くといいなぁ。  ちなみに、こっちは特に変わらず。ミューもユーベルもジークも、みんな元気さ。  あと、お前の同期の……えっと、何だっけ? チ……忘れちゃった。あの赤毛の少年が手紙を届けてくれたんだよ。彼にも手紙を書いてあげたら喜ぶかも。  バルドル様にはよくしてもらってるみたいだね。私は会ったことないけど、彼は誰にでも愛される優しい神様らしい。そういう人のところでなら、一年間楽しく過ごせるだろうな。ちょっと安心したよ。  お前がいないヴァルハラは寂しいけど、そっちの生活もなるべく楽しんで欲しい。どうせ一年は帰れないんだから、バルドル様といろんな思い出を作ってね。それで、帰ってきたらたくさんお話を聞かせてくれたら嬉しいな。  また手紙ちょうだいね。くだらないことでも愚痴でも何でも大歓迎だよ。  大好き。 お兄ちゃんより」  最初から最後まで読み切り、もう一度じっくり読み返す。読めば読むほど愛しさがこみ上げてきて、手紙を抱き締めながら転がり回りたくなった。 「兄上……」  俺も大好きだ……と心の中で叫ぶ。ヴァルハラにいた時も好きで好きでたまらなかったが、ちょっと離れてみるとより一層「好き」という気持ちが溢れてくる。できることなら、今すぐ駆け寄ってハグしたいくらいだ。  ――また手紙書かなきゃ。  汗を流すのも忘れ、アクセルはすぐさま机に座った。  そして紙とペンを出し、早速兄に返事を書いた。

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