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第389話

「兄上へ  手紙ありがとう。すぐに届いて嬉しいぞ。こうやって、ほとんど間をおかずに手紙のやりとりができるのはありがたいな。  欲を言えば、直接会話ができる機械でもあればいいんだが……そんな都合のいい道具はないよな、さすがに。誰か開発してくれないだろうか……。  ああ、そうだ。バルドル様から聞いたんだが、ヴァルハラでは、同居にランクの有無は関係ないらしいぞ。  俺の方でもルールブックを借りて熟読してみたが、『ランクが必要』みたいな項目は一切なかった。  ということは、申請さえしてしまえば兄上と同居できたってことだよな……?  兄上、このこと知ってたか? 俺はずっと、兄上と同じくらいのランクにならないとダメなんだと思い込んでいたから……知らなかったこととはいえ、何だか悔しい。  帰ったらすぐに申請しよう。約束だぞ。  バルドル様とは仲良くやっているよ。  昨日は酒につき合わされたが、彼がうっかり飲み過ぎて酔っ払ってしまってな。もちろん何もなかったが、神様でも酔っ払うことがあるみたいだ。ちょっと新鮮だった。お茶目なところもあって、楽しいよ。  兄上の方はどうだ?  俺がいないからって、あまりいい加減な生活はしないでくれよ? ちゃんとご飯は三食食べるんだぞ。夜更かしばかりしないで、早寝早起きを心掛けるように。  また手紙を書くよ。兄上からの手紙も待ってるからな。  愛してる。 アクセルより」  ――よし、こんなもんか。  ざっと見返して、誤字脱字がないかチェックする。  最後の一言は少し恥ずかしかったが、兄の「大好き」に応えたくてつい書いてしまった。  インクが乾いたら封筒に入れようと思い、先にランニングの汗を流すことにした。  バルドルの屋敷の浴室には、お湯が自動で出てくる管のようなものがついている。本格的な湯浴みでなくても、少し汗を流したいなと思った時に手軽に浴びられる。便利なものだ。後で知ったのだが、これは「シャワー」という道具らしい。  ――これだけ便利なら、兄上と会話できる機械とか、作ってくれないかなぁ……。

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