395 / 2196

第395話

「あ、はい……。場所を教えていただければ」 「斧やノコギリは地下の倉庫に全部揃っているんだ。そこから使いそうな道具を選んできてね。木材は、屋敷の裏にある木材倉庫にいろんな種類の木が保管してあるよ」 「わかりました、行ってきます」  アクセルはまず、屋敷の地下にあるという倉庫に向かった。階段の場所をバルドルに教えてもらい、足早に地下に降りていく。  階段を下りきってすぐのところに大きな鉄門があったので、そこを思いっきり押して中に入った。  ――……って、何だここ? こんなに広かったのか……?  倉庫というから、もっと手狭で物がぎゅうぎゅう詰め込まれている場所を想像していた。  だがここの倉庫はどちらかというとホームセンターのようになっていて、大量に置かれている棚に、ありとあらゆる物が片付けられていた。  いや、片付けられているというより無造作に置かれていると言った方が正しいか。  ――ノコギリどこだよ……?  まず棚ごとに物が整理されていない。謎の麻袋がある隣に薄汚れた本が置かれていたり、埃をかぶったボロ布の下に小さな瓶がいくつも並んでいたりする。これでは刃物がどこにあるかわからない。  何かを作る前に、ここを大掃除する方が先かも……と肩を落としつつ、アクセルはノコギリやペンキを探した。  棚を隅から隅まで見て回り、あった……と思ってノコギリの柄を引っ張り出す。が、そのノコギリは錆がひどく、このままでは到底使い物にならなさそうだった。  ――あああ……先が思いやられる……。  もういっそ、新しいノコギリを用意した方がいいのではないか。こんなサビサビのノコギリだったら、自分の二刀小太刀の方がよく切れると思う。 「……バルドル様、この倉庫いろいろヤバいです」  こっそり呟き、念のためにペンキを入れるバケツややすりも探し出した。  あまり期待はしていなかったものの、見つけたバケツはところどころ穴が開いており、やすりも目が詰まっていてボロボロだった。  ……正直、この倉庫にあるもの全てをゴミとして処分してやりたい。

ともだちにシェアしよう!