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第398話
「じゃあ、いい機会だし、古いものを全部処分して新しいものを仕入れようか。他に必要なものはある?」
「……たくさんあると思います。掃除道具とか」
「そ、そっか……。じゃあ必要なものをまとめておいてくれるかな。注文しておくから」
「はい、わかりました」
そう頷いたら、バルドルは微笑みながらアクセルの手を取った。そして話題を変えるように言った。
「それより、お昼ご飯できたよ。冷めないうちに食べよう。ほらほら」
「は、はい……。今行きます」
バルドルに引っ張られ、アクセルは食堂に向かった。
昼食に用意されていたのは、貝殻型のパスタだった。それがトマトソースに絡められており、上に粉チーズがふられている。かなり美味しそうだ。
小さなサラダも一緒につけられており、栄養バランスもよさそうである。
「またちょっと作りすぎちゃった。でもこれから掃除したりポスト作ったりするから、いっぱい食べておいた方がいいよね」
「ええ、そうですね」
軽く笑いながら、二人一緒に食事をとる。
バルドルは、飲んでもいないのに上機嫌でよく喋った。アクセルは聞き役に回ることが多かったが、彼は雄弁で話題も多く、聞いていても全然飽きなかった。
「……それでさ、倉庫はあの通り大変な状況なんだけど、地味に私の部屋も危ないんだよね。本が溢れすぎて床が抜けそうで。こっちも片づけ手伝って欲しいな」
「わかりました。……バルドル様は本が好きなんですか?」
「好きというか、仕事で使うんだ。一応、これでも裁判官みたいなことやってて」
「裁判官?」
「神の世界にも決まり事があるから、それと照らし合わせていろいろ判断するんだよ。でも間違った判断は下せないから、あれこれ書物で調べているんだ。そうすると、どうしても本が増えて来ちゃうんだよね」
「そうなんですか……」
なるほど、裁判官か。バルドルに合っている。本をたくさん持っていることも納得だ。
――じゃあ、ヴァルハラのルールを作ったのもバルドル様……?
そう聞いたら、彼は軽く手を振ってきた。
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