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第404話
「ホズ様は何か好きな食べ物とかありますか? 作れそうなら俺が用意しますよ」
「ホズはあまり好き嫌いがない子なんだ。出されれば何でも食べるよ。それよか、客室の掃除をして欲しいかも。ホズ専用の部屋があるんだけど……」
「はい、わかりました」
素直に頷き、アクセルは手早く朝食の準備をした。バルドルには及ばないが、自分もホズに会うのが楽しみだ。一体どんな方なんだろう。
――バルドル様より強いって話だけど、本当だろうか。
ホズは目が極めて悪いと聞いている。視覚から得られる情報は全体の七、八割を占めるため、目が悪いのはかなりのハンデになるはずだ。
にもかかわらずバルドルより強いというのは……ちょっと想像できない。
そういう意味でも、興味があった。
「楽しみですね、バルドル様」
「うん、とっても。早く来てくれないかなぁ」
すぐにいらっしゃいますよ……と、アクセルは微笑んだ。
頬を緩ませるバルドルが、少し兄に重なった。
***
お昼頃になり、アクセルはバルドルに連れられて世界樹 の元へ向かった。
「そろそろホズを迎えに行くよ。ついてきて」
「はあ、しかしお屋敷の掃除が全部済んでいないのですが……」
「そんなのいいよ。ホズを連れてくるのが先。さ、行こう行こう」
背中を押され、仕方なく掃除用のエプロンを外す。そしてバルドルの後ろからついていくことにした。
ホズが現れるゲートも、かつてアクセルがヴァルハラから来たのと同じように、世界樹 に出現するらしい。世界樹 はありとあらゆる世界に跨って生えている……という話はどうやら本当のようだ。
どうせそこまで行くのなら……と、アクセルは兄への手紙を真新しいポストに投函した。
「そろそろかなぁ?」
うずうずと世界樹 を眺めるバルドル。
――バルドル様、めっちゃはしゃいでる……。
彼の喜びようにちょっと笑いそうになった。今の時点でこれでは、本物のホズが現れたらすっ飛んで行きそうだ。
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