418 / 2198
第418話
――あれ、やっぱりそういうことだよな……?
あえて聞きはしなかったが、あれだけ仲良しで同じ部屋で眠るとなれば、やることはひとつしかない。まるで自分と兄を見ているようで、アクセルも気恥ずかしくなった。
これ以上廊下にいるのもいたたまれず、急いで自室に閉じこもって鍵をかける。
兄に手紙を書こうとペンをとりかけたけど、どうも考えがまとまらなくて一端ペンを置いた。
「…………」
部屋のベッドに座り込み、耳をすませる。
場所が離れているから何も聞こえないけど、バルドルの部屋では今頃愛の営みが行われているに違いない。どっちがどっちかわからないが……案外、ホズが下側メインなのかもしれないなと思った。だとしたら、そこもまた自分たちと同じだ。
「っ……」
想像したら更に恥ずかしくなってきて、アクセルはベッドの上でゴロゴロ転がり回った。
自分のことじゃないのに、ものすごく嬉しい。
普段は独りぼっちのバルドルにも、ちゃんと愛する弟がいるのだ。たまに会えた時は、ああして愛し合っているのだ。ホズと一緒にいる時だけは、寂しそうな顔をしないで済むのだ。だから嬉しい。
――一緒に暮らせばいいのに。
神には「それぞれ別に暮らす」という掟でもあるんだろうか。アクセルにはよくわからないが、できることなら二人には一緒に暮らして欲しい。その方がお互い幸せだと思う。
ひとしきりゴロゴロ転がり回ったところで、アクセルはむくっとベッドから起き上がった。そして机に戻って兄に手紙を書いた。
「兄上へ
俺がヴァルハラを発ってから約二ヶ月経っているが、元気にしているか? こちらの生活は相変わらず平和で、のんびりしたものだ。
こういう平和は嫌いじゃないが、一緒に過ごす相手がいないと退屈だなとは思う。ヴァルハラでの生活がちょっと懐かしいよ。あそこはよくも悪くも、いろんなことが起こるからな……。
ともだちにシェアしよう!