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第419話

 そうそう、今日からホズ様がうちに来ているんだ。ホズ様って覚えているか? バルドル様の弟だ。  目が悪いと聞いていたんだが、本当に見えていないのか疑問になるくらい強い方でな。手合わせしてもらったら、案の定ボコボコにされたよ。  目隠しをしながらだったからいろいろ不慣れなところもあったが、目に頼らない戦いができるようになれば、きっともっと強くなれると思う。  次に会った時、どれくらい強くなったか試して欲しい。今度こそ兄上を負かせてみせる。  兄上の方はどうだ? 忙しいのか? 手紙を書く余裕はなくてもいいが、食事や睡眠だけはきちんととってくれよ? 健康を害するのが一番よくないからな。  何が起こってるのかわからないとちょっともどかしいが……俺にできることは、こうして手紙を送ることだけだからな……。  せめてこの手紙で元気を出してくれると嬉しいなと思う。  それでは、また。兄上、どうかお元気で。愛してる。 アクセルより」  これでよし……と、アクセルは机の上でインクを乾かした。明日の朝、いつものランニングの時にポストに投函しに行こう。  ――それにしても、兄上どうしたんだろう……。  最初の一ヶ月は、こまめに手紙が来ていた。毎日とは言わないが、三日に一度は直筆の手紙が届いていたものだ。  それなのに二ヶ月目に突入した途端その頻度が急激に減り、ついにはパタリと返事が途絶えてしまったのだ。こちらは毎日手紙を送っているが、ここ数日、その返事は全く返って来ていない。  ――帰りたい……。  手紙はなるべくオブラートに包んだ言い方をしたが、本当はすぐにでもヴァルハラに戻りたくて仕方なかった。兄のことが心配で、今どうしているのか、どんな状況なのか、どうして返事がないのか、変な事件に巻き込まれているんじゃないか……と、気が気ではなかったのだ。  単に手紙をサボっているだけならいいけど、もし……もし……万が一兄の身に何かあったら……。

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