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第423話(フレイン~アクセル視点)
「ミュー、それ本当かい?」
「いや、適当に言っただけ。でもヴァルハラは広いし、神様たちがパーティーを開くにはちょうどいいかなーって。エインヘリヤルがどんな神器を使えるようになったか、お披露目するって意味でも都合がいいのかもよ?」
「なるほど……言われてみれば確かにその通りだ。俺たちはいわゆる、パーティーの余興ってわけだな」
「ああ、余興! そんな野蛮な余興でなくても、わたくしユーベルが特別な舞を披露しましたのに!」
大袈裟に嘆いているユーベルだが、彼なら余興のひとつやふたつ、喜んで提供してくれそうだ。場合によっては自分も参加したいと思う。いいストレス発散になりそうだ。
もっとも、これだけ長時間狭いところに閉じ込められていると、ストレスで手元が狂って神の首を刎ねてしまうとも限らないが。
――とにかく、変なことが起こらないといいけどな……。
間違っても帰って来ちゃダメだよ、アクセル……と心の中で祈りながら、フレインはもう一度ごろりと床に寝転がった。
***
翌朝。アクセルはいつも通り起床して、日課のランニングがてら兄の手紙をポストに投函した。そして部屋に戻って汗を流し、着替えたところで朝食を作りに行った。
ちなみに、鍛錬でできた傷はかなり薄くなっていた。グロアが作った軟膏とやらは効果抜群だったらしく、ランニングをする時も、シャワーを浴びる時も特に支障はなかった。あんな便利な軟膏があるなら、いざという時のために少し分けてもらいたいくらいだ。
キッチンに入り、食糧庫に残っている食材を見比べ、メニューはどうしようか考える。
昨日はホズがやってきて、鍛錬やら何やらをしていたせいで食料を補充しそびれてしまった。またパンケーキにするわけにもいかないし、さてどうしよう。
――というか、バルドル様とホズ様はいつも通り起きてくるのか……?
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