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第424話

 もし……あれだ、寝所でかなり盛り上がっていたとしたら、起きてくるのは昼近くになる可能性もある。となれば朝食は自分の分だけ作ればよく、彼らの分は昼から……というのもあり得るわけだ。  少し様子を見に行った方がいいだろうか。いや、でも二人の邪魔をするのも無粋だし……。  あれこれ迷ったけれど、用意すべき人数がわからないと調理もできないので、一応部屋の前まで様子を窺うことにした。  なるべく邪魔をしないよう、足音を立てずにそっと部屋の前まで行ってみる。  ノックをするのも無粋なので、とりあえず起きているかどうかだけ探ろうと、ドアに耳をくっつけてみた。  だが、次の瞬間……。 「おわっ!」  いきなりドアが開いて、危うく前のめりに倒れそうになった。  よろけた途端、ホズに髪を掴まれ、真正面から睨まれる。……本人は目が見えていないはずなのに、なんだこのプレッシャーは。 「……覗きのような真似は感心しないぞ」 「の、覗きじゃありません……! 朝食は召し上がるのか伺いたくて……」 「なら普通にノックすればいいだろう」 「いえ、でも……それはちょっと……」 「……は?」  ホズが怪訝な顔をしていると、 「私たちを気遣ってくれたんだよ。そんなに怒らないであげて」  バルドルが髪を拭きながら浴室から出てきた。上質なバスローブを羽織って、かなりラフな格好である。  何もなければバルドルは朝にシャワーを浴びることはないので、これはやはり……。  ――朝まで寝られないコースだったんだろうな……。  それはそれで微笑ましい。ホズが何事もないような顔をしているのも不思議だけど。 「それで、朝食だっけ? なんかお腹いっぱいだから、軽いものにしてくれたら嬉しいな」 「あ、はい……わかりました。出来上がったらこちらに運んで来ましょうか?」 「いやいや、さすがにそこまでしてもらうのは悪いから。ちゃんと仕度して食堂に行くよ。アクセルは先に食べてていいからね」 「わかりました」  そう頷き、アクセルはキッチンに戻った。

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