424 / 2198
第424話
もし……あれだ、寝所でかなり盛り上がっていたとしたら、起きてくるのは昼近くになる可能性もある。となれば朝食は自分の分だけ作ればよく、彼らの分は昼から……というのもあり得るわけだ。
少し様子を見に行った方がいいだろうか。いや、でも二人の邪魔をするのも無粋だし……。
あれこれ迷ったけれど、用意すべき人数がわからないと調理もできないので、一応部屋の前まで様子を窺うことにした。
なるべく邪魔をしないよう、足音を立てずにそっと部屋の前まで行ってみる。
ノックをするのも無粋なので、とりあえず起きているかどうかだけ探ろうと、ドアに耳をくっつけてみた。
だが、次の瞬間……。
「おわっ!」
いきなりドアが開いて、危うく前のめりに倒れそうになった。
よろけた途端、ホズに髪を掴まれ、真正面から睨まれる。……本人は目が見えていないはずなのに、なんだこのプレッシャーは。
「……覗きのような真似は感心しないぞ」
「の、覗きじゃありません……! 朝食は召し上がるのか伺いたくて……」
「なら普通にノックすればいいだろう」
「いえ、でも……それはちょっと……」
「……は?」
ホズが怪訝な顔をしていると、
「私たちを気遣ってくれたんだよ。そんなに怒らないであげて」
バルドルが髪を拭きながら浴室から出てきた。上質なバスローブを羽織って、かなりラフな格好である。
何もなければバルドルは朝にシャワーを浴びることはないので、これはやはり……。
――朝まで寝られないコースだったんだろうな……。
それはそれで微笑ましい。ホズが何事もないような顔をしているのも不思議だけど。
「それで、朝食だっけ? なんかお腹いっぱいだから、軽いものにしてくれたら嬉しいな」
「あ、はい……わかりました。出来上がったらこちらに運んで来ましょうか?」
「いやいや、さすがにそこまでしてもらうのは悪いから。ちゃんと仕度して食堂に行くよ。アクセルは先に食べてていいからね」
「わかりました」
そう頷き、アクセルはキッチンに戻った。
ともだちにシェアしよう!