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第432話
咄嗟に受け身をとったものの、思いっきり世界樹に叩きつけられて全身に衝撃が走った。
「おっと足元が見えなかった。悪いな、小僧」
「……え?」
何にぶつかったのかと思ったら、たった今ゲートから出てきた巨人だった。
そのまま巨人は岩のような巨体を揺らしながら、ズシンズシンと立ち去っていった。
――で、でかい……!
なんだアレは。あんな大きな神がいるのか? 控えめに見積もっても絶対に五メートル以上はあった。
バルドルみたいな人間に近い神が普通だと思っていたけど、ああいう異形の神もたくさんいるということか。気をつけないと知らずに踏み潰されてしまいそうだ。
「大丈夫かい?」
後からゲートから出てきたバルドルに顔を覗き込まれる。
アクセルはちょっと苦笑し、何でもないかのように立ち上がった。
「大丈夫です。ところで、バルドル様はこれからどうなさいますか?」
「パーティー会場に行ってくるよ。そこでホズとか……他の神に会ってくる。きみはどうする?」
「俺は兄に会ってきます。パーティーが終わるまでには屋敷に帰りますよ」
「そっか。じゃあここからはお互い自由行動ね。また後で」
「はい」
バルドルと別れ、アクセルは早速兄を捜すことにした。
さて、兄はどこにいるだろう。
――兄上は行動が読めないからな……。
訓練場なのか、図書館なのか、山なのか、自宅なのか……候補はたくさんある。
とりあえず思いつく場所を手当たり次第に当たってみよう……と、早足で歩き出した。
最初に訓練場に向かったのだが、
――ええ!? 何だこれ!?
その周辺の景色がまるっきり変わってしまっている。
訓練場の近くにあるスタジアム(普段死合いを行う場所)は潰れてなくなっており、代わりにその何倍もの規模のオープンスタジアムが出来上がっていた。
訓練場自体も壁や天井がぶち抜かれており、もともと地面に引かれていたランニング用のラインくらいしか残っていない。これじゃただのグラウンドじゃないか。
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