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第433話
――何だよ、このヴァルハラ全体リフォームみたいな状況は……。
パーティー会場にするために、既存の建物を全部作り替えてしまったのか。それなりに愛着もあったのに、何だか残念だ。
確かに、先程の巨人みたいな神がたくさん集まったら、普段のスタジアムなんかじゃ狭すぎると思うけど……。
――これ、住宅地はどうなってるんだろう……。
公共施設はともかく、個人的な家まで潰されてしまうのは困る。
心配になってきて、アクセルはまず上位ランカーの住まいである特別地区に足を運んだ。自分の家より、兄の家がちゃんと残っているのかの方が気になったのだ。
駆け足で兄の家に向かう。
嫌な予感が当たりませんように……と祈っていたのだが、残念ながら特別地区もほとんど更地になっていた。
――そんな……。
さすがにショックで愕然と目を見開く。
兄の家がなくなってしまった。この辺りで一番豪華だったユーベルの城ですらなくなってしまっている。道理で手紙の返事がないはずだ。家がないのでは、手紙自体届いているのかも怪しい。
いや、そんなことより、だ。
兄はどこにいるのだ? 他の戦士は? 一体どこで寝起きしているのだ? ヴァルハラの戦士は五〇〇〇人以上もいる。その戦士が全員寝泊まりできる施設など、ここには存在しない。
俺がいない間に、ヴァルハラはどうなってしまったんだ……?
「っ……!」
そこへ、ずしん……ずしん……と地響きのような足音が近づいてきた。
顔を向けたら、先程ぶつかった巨人と似たような連中が、ハンマー片手に地ならしを始めた。ハンマー自体もそこらの鉄柱より遥かに太い。
たまらなくなって、アクセルは巨人たちに向かって叫んだ。
「やめてくれ! もう壊さないでくれ! ここはあなた達の土地じゃない!」
だが地ならしの音に掻き消され、アクセルの声は届かない。それどころか足下の自分に気づいてもらえず、頭上にハンマーを振り下ろされてしまった。
――やばい……!
やや反応が遅れて避けきれず、身体の一部を潰されることを覚悟しかけた。
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