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第435話
「うん、実はね……」
兄が今までの出来事を簡単に話してくれた。
戦士全員が集められて神器選考会にかけられたこと。ほとんどの戦士は何かしらの神器を与えられたが、一部の戦士は破魂されてしまったこと。ラグナロクに備えて、これからは神器を使うことになったこと……等々。
「そんなことが行われていたのか……」
話を聞きながら、自分だけ蚊帳の外に置かれていたことを少し恨んだ。人質に出ていたから仕方がないとはいえ、そういうことは何かこう……公式文書として通達くらいして欲しいものだ。
「じゃあ、俺の神器はどうすればいいんだ?」
「それなんだよ。もう神器選考会は終わっちゃって、神器を持っていないエインヘリヤルはいないからね。『持っていない=用済み』ってことだから、早いところ誰かから神器をもらい受けないとマズい」
「そ、そうか……。どうしよう……バルドル様に話したら、何か貸してくれないかな……」
「バルドル様なら可能性ありそうだよね。というか、お屋敷にいくつか神器が保管してあるんじゃないの? そこから何か貸してもらうとか」
「ああ……一応、倉庫にヤドリギが保管されているが、あれはバルドル様の母上から『厳重保管しておくように』って言われてるものだからな。俺なんかに貸してくれるかどうか……」
「そうなの?」
「バルドル様には『万物の加護』があるから、どんな武器で攻撃されても死なないんだよ。でもヤドリギだけは例外だって聞いた事があって。それを心配した母上が『保管しておけ』って言ったそうだ」
「ふーん……?」
「まあ、とりあえず話だけでもしてみるか……。バルドル様も『こんなヤドリギが何かできるとは思えない』って言ってたし。ヤドリギがダメなら別の神器を貸してくれるかもしれないし」
「うんうん、それがいいよ」
と、にこやかに笑うと兄はくるりと背中を向けた。
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