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第436話
「じゃあ私はちょっとパーティー会場に行ってくるね」
「何かするのか?」
「うん。なんか神器を使って余興をしなきゃいけなくなって。面倒だけど選ばれちゃったからしょうがないよね」
「そうなのか。余興って一体何を……」
「わかんない。とにかく私は行くね。じゃ!」
そう言ったきり、兄は急ぎ足でその場を離れてしまった。やけに急いでいたが、そんなに時間がないんだろうか。もう少しゆっくり話したかったのに。
――まあ余興が終わってからまた話せばいいか。
そう思い直し、アクセルもパーティー会場に向かった。
……というか、同じパーティー会場に行くなら一緒に行けばよかったな。
とりあえず、バルドル様を捜そう……と思い、アクセルはパーティー会場を見て回った。
大勢の神が集まっている場所があったので、そこを覗いたらすぐに見つかった。バルドルは神々の間でも人気者らしく、たくさんの神に囲まれて楽しそうに会話していた。
「バルドル様!」
アクセルは一生懸命神々を掻き分け、バルドルに近付くべく声を張り上げた。
「……おや? きみかい? どうかしたの?」
「ちょっとお話があるんですけど、今よろしいですか?」
「後にしろ。この通り、兄上は忙しいんだ」
と、側にいたホズが口を挟んでくる。楽しい会話を邪魔されて、少々不機嫌なようだ。
心の中で「すみません……」と謝りつつも、アクセルは頑として言った。
「大事な用なんです。俺の生死に関わる問題なので」
「そうなの? 一体どういうこと?」
「実は……」
アクセルは兄から聞いた話をそのままバルドルに伝えた。一刻も早く神器が必要なのだということを特に強調して話した。
聞き終えたバルドルは「なるほど」と納得した後、笑顔でこう言ってくれた。
「じゃあ、倉庫から例のヤドリギを持ってっていいよ。きみにあげる」
「……えっ? いや、そんなあっさり……。いいんですか?」
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