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第442話

 ――過激すぎだろ、それ……!  どういう遊びなんだ、とアクセルは内心呆れ果てた。北欧の神々は好戦的な者が多いせいか、遊び自体もやや血生臭いようだ。 「く……これじゃバルドル様に近づけない……」  周囲を固めているのは、アクセルより遥かにたくましい巨躯を持った神々ばかり。「ちょっとすみません!」と声をかけても歓声に掻き消され、アクセルの声は届かない。  どうしよう……どうすれば……。 「これはもう、先にロキ様を見つけた方が早いね」  と、兄が助言を与えてくれる。 「ロキ様の姿はわかる?」 「わ、わからない……。俺が会った時は兄上に変身していたから……」 「じゃあ知ってる人に聞くしかない。話を聞いてくれそうな人は?」 「バルドル様以外だと、ホズ様くらいしか……」 「わかった、ホズ様ね。じゃあホズ様を捜そうか。ほら、行くよ」  テキパキと指示を出し、こちらを引っ張ってくれる兄。本当に頼もしく、心強かった。一緒にいてくれて心底よかったと思った。  だがその一方で、一抹の不安も感じていた。 「兄上……」  こんな時に口にすることではないかもしれない。が、どうしても聞かずにはいられなかった。  アクセルは歩きながら尋ねた。 「あなたは、本当に兄上だよな……?」 「えっ?」 「誰かが化けているんじゃないよな……? 本当に、正真正銘、俺の兄上だよな……?」 「何言ってるの。当たり前じゃないか。何で?」 「それは、その……兄上、いつももっとのんびりしてるだろ……? こんなにテキパキしているのは初めてで……」  最初に会ったのが兄に化けたロキだったから、すっかり自信をなくしてしまったのだ。兄のことは絶対に間違えないと思っていたのに、まんまと騙されてしまった。  自分が兄を想う気持ちはその程度のものなのか、本物と偽物の区別もつかないのかと、内心かなり落ち込んでいたのだ。

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