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第449話※
――えっ……?
黒ベースの衣装に、両肩には金属製の肩当て。腰に二振りの小太刀を下げており、
あれは、どこをどう見ても若かりし頃の自分だった。十一年前だから十六歳くらいか。
――……って、ちょっと待て。俺、こんなところにいた覚えないぞ。
兄と同じ戦場に立ったのなら、絶対に覚えているはず。そんな大事なことを忘れるはずがない。
ではこの夢は何なのだ? あの「自分」によく似た人物は一体誰なのだ?
「兄上」
その人物は親しげに兄に話しかけた。
兄は目を丸くして彼を見ると、首をかしげて答えた。
「……アクセル? お前、何故こんなところにいるんだい? もっと後方にいるはずじゃ」
「兄上にちょっと用があったんだ」
「用? それ今じゃなきゃだめなの? ここ戦場だってわかってる?」
「ああ、もちろんわかってるよ……」
言うやいなや、彼はいきなり兄を切りつけた。正面から切りつけられた兄は、胸部から腹部にかけて十字にバッサリ斬られ、真っ白な衣装が一気に赤く染まった。完全に油断していたらしく、防御もしていなかった。
「ぐっ……ア、クセル……何を……」
「あー……やっぱり普通の武器は面倒だな。一発で仕留められない。神器使えれば楽なのに」
「うあっ……!」
スパッと右足も切断され、兄はドサッと地に倒れた。
あの斬られ方は、自分が兄を看取った時と同じだ。亡くなった兄はああやって正面から斬られた痕跡があった。
一体どんな手練れなのかとずっと疑問に思っていたけれど、自分にそっくりなことといい、神器のことを口走ったことといい、まさか……まさかあいつは……。
――ロキか……!?
ロキが兄を殺したのか!? 一体何のために!? 神が人間を殺すなんて、そんなことあるのか!? あいつは一体何を考えているんだ……!?
「っ……っ……」
血の海に沈んでいる兄の髪を、ロキは乱暴に掴んだ。綺麗な金髪が、あんなやつに鷲掴みされているのがとても悲しかった。
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