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第461話

「はあ……まあ言われてみれば……」 「だからね、むしろロキには感謝してるんだ。死者の国(ヘル)に来たのは初めてだけど、生活していればそのうち慣れるだろうし。感覚的には、全く違う場所に引っ越した……みたいな感じかな。だからきみも、罪悪感なんて持たなくていいんだよ。むしろ、こんなことに巻き込んじゃって私の方が申し訳なく思ってるくらいだ」 「バルドル様……」 「というわけで、それはきみが持ってって。私からの餞別代わり。これから地上は大変なことになるだろうけど、きみたち兄弟なら上手く乗り越えられると思う」  改めて、バルドルがヤドリギ――ミストルティンをこちらに握らせてきた。もとは小さな植物の種なのに、ズシリとした重みがある。なんと重いことか。  自分に扱いきれるのか、正しく使いこなせるのか、扱いを間違えて大事な人を傷つけてしまったらどうしよう……等々、重みと共にプレッシャーものしかかってくる。  だけど……。 「……ありがとうございます、バルドル様」  アクセルは深く頭を下げた。  この先、地上では何が起こるかわからない。ラグナロクと言っても単語を聞いた事があるだけだし、具体的にどういった戦いが繰り広げられるのかも不明だ。  それでも、バルドルにそう言ってもらえたのは嬉しかった。気持ちもだいぶ楽になった。  自分に対する嫌悪感や罪悪感でいっぱいになり、後悔の念にまみれていたけれど、バルドル本人は「むしろこれでよかった」と言ってくれた。  彼にとっては、死者の国(ヘル)に行くというのは、もしかしたら生身の人間が死んでヴァルハラに行く……くらいの感覚なのかもしれない。 「というかホズ様、目が治ったって本当ですか?」  ふと不思議に思い、アクセルは顔を上げてホズを見た。  ホズの様子は生前とあまり変わらないように見えるが……。

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