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第462話
するとホズは、少し口角を上げてニヤリと笑った。
「ああ、きちんと見えている。お前が今どんな顔をしているかも、よくわかるぞ」
「……え」
「嬉しいが後ろめたい、焦りも感じているがどこかホッとしている……そんな顔だ。こういった細かい表情は、実際に見てみないとわからないな」
「う……」
複雑な感情を全部読み取られ、ものすごくバツが悪くなった。
ホズは目が見えていない時からかなり鋭かったけれど、目が見えるようになったせいで余計に鋭くなってしまったみたいだ。あらゆることを見透かされてしまう。
――鬼に金棒だな……。
もう絶対敵わない……と、アクセルは諦めに近い感情で思った。
まあ、ホズと戦うことはないだろうが……ラグナロクという最終戦争が起きると言われている今、ホズのような強者がうじゃうじゃ出てくる可能性はある。
果たして自分は生き延びることができるだろうか。生き延びることができたとして、その先は一体どうなるんだろうか。
兄と一緒に、また穏やかな生活を送れるのだろうか……。
「最後にお話できてよかったよ」
バルドルが、遠回しに別れの挨拶をしてきた。
「さあ、早く帰りなさい。きみたちの居場所はここじゃない。ラグナロクで生き延びられるよう、お祈りしているよ」
「はい……バルドル様、今までありがとうございました。ホズ様も、お世話になりました」
「息災でな」
「はい……それでは、失礼します。さようなら」
きちんと別れの言葉を述べ、アクセルはその場を離れた。兄も二人にぺこりと頭を下げて、後ろからついてきた。
心なし歩みが遅かったので、自分も少し歩く速度を緩めた。
「兄上、大丈夫か? 少し疲れた顔をしているが」
「うん……大丈夫。先に起きて歩き回ったから体力消耗したかな……」
「すまない、無理させて。それと、俺のわがままに付き合ってくれてありがとう」
「いいよ……。弟に付き合ってあげるのも、お兄ちゃんの役目だからね……」
そう微笑んでくれたが、やや顔色が悪く見えた。息も切れているし、変な汗も滲んでいる。
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