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第465話
「えっ……?」
不意に後ろから声をかけられ、アクセルは驚いて振り返った。
若い女性だと思ってそちらを見たら、更に驚愕して目を剥いてしまった。
「……!?」
右半分は美しかった。もう随分と女性と会話していない気がするが、そんな自分ですらドキッとするほどの美貌であった。少し冷たそうな灰色の目が印象的である。
だが左半分は……到底美しいとは言えなかった。
人型を形成してはいるものの、その身体はどす黒く腐敗しており、生理的に目を逸らしたくなる。右半分が色白でスタイルのいい女性だったから、余計にそのコントラストが目に痛かった。
そういう特異な見た目のせいか、布らしい布は何も身に付けていないし……。
――って、これって素っ裸ってことか!?
これはマズい! 女性の裸を直視してしまった!
アクセルは慌てて目を逸らした。元が美人のせいか、より一層気まずかった。恥ずかしくて少し頬が熱くなる。
「ったく、その反応……ホントに嫌になるわ。何でこんな見た目に生まれちゃったんだか」
「え?」
「あんたもどうせ、私のこと気持ち悪いと思ったんでしょ。わかるわよ」
どこか不満げな口調で女性が言う。
誤解させてしまったようなので、なるべく簡潔に弁明した。
「いや、そうではなく……服を着ていないから……」
「えっ?」
「女性の裸は、その……あまり見たら失礼になるだろ……?」
「…………」
女性が小さく息を呑んだ。直接見ることはできなかったが、かなり驚いているようだった。
「……あんた、変態なの?」
「へ、変態!?」
「だってどう考えたっておかしいもの。私の姿を見て驚かないなんて」
「いや、十分驚いたけど……」
「でも、驚きの方向性が違うでしょ。私を女性扱いするなんて、絶対変態だわ」
……何故こんなところで変態呼ばわりされなければならないのだろう。理不尽な。
――この人、女性扱いされることに慣れてないんだろうか。
そりゃあ、確かに身体半分は見慣れない姿だが、彼女はれっきとした女性のはずだ。服を着ていないせいか、女性らしい身体のラインもよくわかるし……。
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