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第483話

「はい、できたよ。ヤドリギを入れて」 「あ、ああ……」  アクセルは、兄が作ってくれた穴の中にヤドリギを詰め込んだ。  そして岩から一歩離れたところで、兄に言った。 「兄上、ひとつ頼みがあるんだが」 「うん、何だい?」 「俺をちょっと怒らせてくれないか?」 「……えっ?」 「もしかしたらこのヤドリギ、持ち主の感情で反応するのかもしれない。だから少し試してみたいんだ」 「ああ、そういうこと? 話はわかったけど、急に言われても難しいねぇ……」  兄が顎に手を当てて苦笑する。 「私はお前が大好きだから、喜ばせたり赤面させたりするのは得意だけど、怒らせるのはなぁ……。いくらお前の頼みでも、上手くできるか自信がないよ」 「いや、そんな難しく考えなくていいんだ。俺の悪口とか、ダメなところとか……本当に何言ってくれてもかまわない」 「でもお前、ダメなところを指摘したら怒るより反省しちゃわない? 泣かせるのでよければできそうだけど」 「な、泣かせる……」  それで果たして反応するのか謎だが、試してみる価値はありそうだ。 「わかった……。じゃあ兄上が思う方法で、俺を怒らせるなり泣かせるなりしてみてくれ」 「うん、いいよ。ちょっと頑張ってみるね」  そう言うやいなや、兄は素早い動きでこちらの鳩尾を殴打してきた。  さすがに虚を突かれて反応できず、一瞬気が遠くなりかけた。  よろけたところで胸倉を掴まれ、乱暴に地面に引き倒されて、その上に馬乗りにされてしまう。 「うっ……兄上、何を……」 「うん、今からお前を組み敷こうかなって。久しぶりだから手加減できないかもだけど、お前が言い出したことだし、いいよね?」 「なっ……! ここでそういうことやるのか!? 兄上、体調悪かったんじゃ……」 「ああ、それは嘘。本当は言うほど体調悪くなかったんだ」 「はあぁっ!?」 「この通り、お前を犯すくらいの元気はあるんだよ。というわけで、おとなしく犯されて」 「ちょっ……! 待って兄上、さすがにそれは……!」  アクセルの制止も聞かず、強引に服を引っ張ってくる兄。

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