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第484話
いくら何でもこんなところでやらかすわけには……と焦り、慌てて兄の腕を掴んだ途端、
「……!」
岩がバキバキと砕ける音が聞こえた。
顔を上げたら、案の定ヤドリギの種から丈夫そうな枝が伸び、瘴気の岩を跡形もなく粉砕していた。先程よりも心なし粉々になっている気がする。
「おお、上手くいったね。よかったよかった」
「えっ? ……あ」
「乱暴してごめんね。痛かったでしょ」
よしよし、と叩いた鳩尾をさすってくる兄。
ああ、そうだったな……と思いつつ、アクセルは半身を起こした。そして小さく溜息をつくと、引っ張られた服を元に戻した。
「……兄上って、時々唐突に暴力振るうことあるよな」
「ええ? そんなことないでしょ。というか、今のはお前が『やってくれ』って言ったからやったんだけど……」
「まあそうなんだが……個人的には少しびっくりする」
「びっくりしなければ、ヤドリギは反応しないんじゃない?」
「……かもな」
どうにか平気そうな顔を保ったが、未だに心臓はバクバクしていた。
――本当に犯されるかと思った……。
この兄なら、こういうところでもやりかねない。久しぶりなのは事実だし、正直……溜まってもいる。アクセルもこんな場所でなければ、抵抗もそこそこにあっさりやられていたかもしれない。
「これだけ粉々になったらさすがに合格だよね。さ、女王様のところに戻ろうか」
兄が種に戻ったヤドリギを拾ってくれて、それでハッと我に返った。
「あ、ああ……そうだな……」
慌ててヤドリギを受け取り、懐にしまい込む。変なところで反応しないように、一生懸命平常心を保とうとした。
それなのに、
「……やりたくなっちゃった?」
「えっ……!?」
「顔に描いてあるよ? お兄ちゃんに抱かれたいって」
「そ……そんなことは……」
動揺した途端、懐から枝が伸びてきて、服を思いっきり引き裂かれてしまった。
幸い、胸元が破れただけで済んだが、これでは何かをやらかした後に見えなくもない。
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