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第485話

 兄がさも楽しそうに破れた懐に手を入れてくる。 「はは、これ面白いね。持ち主がびっくりすると反応するんだ?」 「た、多分……。って、変なところに手突っ込まないでくれ!」 「だって、ちょうどいい具合に破れてるからさ。つい手入れたくなっちゃう」 「つい、じゃなくて……。というか、今はふざけてる場合じゃないだろ……!」  制止したのに、兄は肌に直接触れてきて、あまつさえ突起まで弄ってくる。そのせいで、アクセル自身も身体の芯が疼いてきた。  さすがにこれ以上はマズイと思い、慌てて腕を掴んで止める。 「ちょ……兄上、本当にダメだって……! これ以上触ったら……」 「ますますやりたくなっちゃう?」 「っ……!」 「私もやりたいな。お前とはいつも室内ばかりで、外ではやったことないじゃない? ヴァルハラではないけど、一回体験してみる?」 「そっ……! だ、だめだろ、いくら何でも死者の国(ヘル)でなんて……!」 「そうかな。ちょっとは息抜きするのも大事だよ。何なら、ヤドリギ使ったプレイもやってみる?」 「っ!? ちょ、それどういうプレイ……!?」  それで動揺したせいか、更にヤドリギの枝が伸び、タコの足みたいな太めの物が生えてきてしまった。  ――このヤドリギ、俺が動揺すると反応するのか……!?  だとしたら、平常心を保っていないと、とんでもないことになりそうだ。特に兄との交わりは動揺することが多いから、本当に触手のような枝が生えてくる可能性がある。  ……などと心配していることに気付き、慌ててその考えを振り払った。俺は一体何の心配をしているんだ! 「も、もう……いい加減にしてくれ!」  わざと強引に兄を振り払い、アクセルは強めの口調で言った。 「兄上と交わりたいのはやまやまだが、今はふざけてる場合じゃないだろ! 早く地上に戻るぞ!」 「ふふ、わかったよ。女王様のところに報告に行こうか」  兄も引き際は心得ているのか、それ以上ふざけてくることはなく、突っ込んでいた手もあっさり外してくれた。

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