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第486話

 気を取り直し、二人で女王様の元に戻る。  出口付近で待っていてくれるかと思いきや、彼女はどこをほっつき歩いているのか周辺を捜しても見当たらなかった。 「……これ、もう勝手に帰っていいってことか?」 「どうだろう……。ここまでして勝手に帰ったら逆に恨まれそうだけど……」 「まあ、そうだよな……しかし……」  アクセルは開きっぱなしの出口に目をやった。女王の代わりとなるような門番もおらず、いかにも「どうぞお通りください」と言っているかのようだ。それだけで十分罠っぽく思えてくる。  ……いや、ちゃんと言われた通り試練をこなしてきたのだから、ここで罠というのもおかしい気がするが……。 「女王様って、大声で呼んだら来てくれるのかな」 「……わからないが、一応呼んでみるか」  一度呼んでみてそれでも反応がなかったら、このまま帰ってしまおう……と思い、アクセルは息を吸い込んだ。  次の瞬間、 「いちいち呼ばなくてもわかってるわよ。ちょっと仕度に手間取ってただけ」 「ぶっ……!」  いきなり女王の声がして、思わず咳き込んでしまった。そう言えば、最初に会った時もいきなり後ろから声をかけられた覚えがある。  心臓に悪いからやめて欲しい……と思いながら振り返ったら、今度は違う意味で咳き込みそうになった。 「……!」 「……何よ、その顔。あんたが服を着てくれっていうから着てきてあげたのに」  まさにその通りだった。今まで何も身に付けていなかった女王が、服らしい衣装を纏っていた。  衣装といっても、宮廷女性が着ているような豪奢なドレスではない。広くて長い布を巻き付けるタイプの衣装だった。  それで腐食している左半身を上手い具合に隠し、顔の右半分が出るように工夫してある。  そう言えば、どこかでこんな感じの民族衣装を見た覚えがあるような、ないような……。

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