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第491話
「どうだろう……。そう簡単に帰って来られるとは思えないけどね。パーティーであれだけの騒ぎを起こしたわけだし」
「…………」
「オーディン様だってそこまで馬鹿じゃない。ロキがそそのかしたことくらい、見抜いてると思う。バルドル様はオーディン様の愛息子だし、さすがに何かしらの罰は与えるん……って、どうかした?」
やや遠い目をしていたら、兄に顔を覗き込まれた。それでハッとした。
アクセルは少し苦い顔をして呟いた。
「少し考えてたんだ」
「何を?」
「ホズ様は、あの時どんな気持ちでヤドリギを投げたのかって……」
「どんなって……」
「使ってみてわかったんだが、このヤドリギは強い感情がないと反応しないんだ。しかも負の感情の方が圧倒的に反応しやすい」
懐に入れていたヤドリギを取り出してみる。今はただの種として、おとなしくしているが……。
「バルドル様もホズ様も、お互いを想い合ういい兄弟だった。端から見ていても、羨ましくなるくらい仲良しだった。それなのに、ホズ様が投げた途端変形するなんて……」
「…………」
「それってホズ様が、その……バルドル様を……」
「『腹立たしい』と思ってた?」
「う……」
「そりゃ、どんなに仲のいい兄弟だって、少なからず思うところはあるでしょうよ。時に『腹立たしい』とか『面白くない』とか感じることはあるって」
あまりに当たり前のように言うので、アクセルは驚愕して兄を見た。
兄は至極当然のように続けた。
「お前だって、私にイラッとすることあるじゃないか。だからさっきヤドリギが反応したんでしょ。そんなの全然不思議じゃないし、感情を持ってる生き物なら当たり前のことだよ」
「そ、それはそうだけど、さすがに殺すほどではないんじゃ……」
動揺しているのを畳みかけるように、真顔でこんなことを言われてしまう。
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