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第493話
――結局、全部俺のせいか……。
いや、そんなこと最初からわかっていた。
兄に頼らないようにしようと心掛けたところで、ピンチになるとつい兄を呼んでしまう。兄の負担を理解しつつも、兄に甘えるのをやめられない。以前もどこかで言われたが、これは弟の本能みたいなもので、意識して直すことは不可能だ。
ならば、今のアクセルにできることは……。
「で、どうしようか。このまま神殿探索してみる? それとも、他の場所でお前の服を探す?」
「あ、ああ……そうだな、どうしよう」
「私はどっちでもいいよ。身体もだんだん軽くなってきたし、今ならどこへでも行ける気がするんだ」
「……そうか。それじゃあ、まずは服を調達したいな……。さすがに胸元がビリビリのままじゃ、いざという時に困るし……」
「わかった。じゃあ少し神殿を探索してから別の場所に行こうか。ここにも神父さんが着ていそうな衣装があるかもしれないし」
「……そうだな」
小さく頷き、兄を見つめる。
兄は何事もなかったかのようにくるりと踵を返し、神殿の柱に隠れながら探索をし始めた。弟の心情に気付いていないのか、気付いていてあえて無視しているのかはわからない。
そういう、ちょっとドライなところも兄らしいけれど。
「……兄上」
アクセルは、歩き始めた兄の背に声をかけた。
「あなたが俺のことをどう思っていてもかまわない。でも俺は、あなたが好きだ。……何度も言うが、それだけは本当だからな」
片想いだってかまわない。そもそも、生前はずっと片想いだと思っていたのだ。ただ一緒にいるだけで、一緒に日常を過ごせるだけで、アクセルは十分幸せだった。
それが、いつの間にか「想われるのが当たり前」になってしまって……。
――贅沢だな、俺……。
兄から愛されていなきゃ嫌だ、と。自分が兄を想っているのと同じように、兄も自分を想ってくれなきゃ嫌だ、と。
自分は兄に迷惑をかけてばかりなのに、愛してもらうのが当然だなんて、こんな傲慢なことはない。冷静に考えて、何様なのかと思う、
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