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第496話
「なるほどね……。道理で、私たちとは違っているはずだ。毒の扱いとか罠の仕掛け方とか、そっちばかり得意で、戦闘力に関しては何故かたいしたことなかったし。そんな人たちが、オーディン様の眷属 として選ばれるのはちょっと妙だなと思っていたんだ。狩りに特化した人がいてもおかしくないけど、最低限の戦闘力は必要だからね」
「あなたはボケッとした見た目に反して、いろいろ鋭いから苦手ですよ。馬鹿正直な弟とは正反対ですね」
「ありがとう。でも今度うちの弟をハメたら、問答無用で首を刎ねるからね」
「生憎、今はそんなことする意味がありません。そう易々と刎頸の口実は与えませんよ」
兄に対してかなりズケズケ言っているロシェ。
ジークやユーベル等の友人ならともかく、下位ランカーからこのような口を利かれるのは初めて見た。
……いや、厳密には彼は、エインヘリヤルではないのかもしれないが。
「ええと……それで、きみは一体何をしに?」
ひとまず一番気になっていたことを尋ねたら、ロシェはあっさりこう言った。
「お人好しの戦士が、ほとんど上半身裸で歩き回っているものですから。ちょっとからかってやりたくなったんです」
「えっ!? あ、いや、これは変なことしてたんじゃなくて、事故みたいなもので……」
「事故で盛大にやらかしたんですか? はしたないですね」
「違うんだ! 本当にそんなんじゃ……むぐっ!」
「声が大きいよ。恥ずかしいのはわかるけどね」
兄も、悪ノリしてこちらの口を塞いでくる。これ以上はますます誤解が深まるので、本当に勘弁して欲しい。服が破れているのはヤドリギのせいであって、決して兄といかがわしいことをしていたわけではない。そんな暇もなかったし。
するとロシェが呆れながら腰に手を当てた。
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