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第516話
「それよりお前、せっかくの魚が冷めちゃうよ。それと、身体が乾いたなら早く服を着た方がいい。風邪ひいちゃうからね」
弟が脱いだ服をはたき、改めてこちらに差し出してくる。
アクセルは黙ってそれを受け取り、サッと着衣して魚を食べた。
少しだけ腹が満たされたところで、改めて話を振ってみる。
「ヴァルハラまであとどのくらいだろうな」
「うーん……どうだろう。あの巨人の子曰く、慣れてなければ三日はかかるって話だったからね」
「……まだまだ道は長いのかな。他の人達がどうなったかも気になるんだが……」
「ジークやユーベルに関しては心配いらないと思うけどね。でもお前の同期の……名前は忘れたけど、ああいう子は危ないかな」
「だよな……。チェイニー、大丈夫かな……」
最近は話す機会も減ってしまったが、戦闘以外の生活面ではいろいろ世話になったものだ。大事な手紙を届けてもらったり、書類を提出してもらったり、情報を提供してもらったり……。
いても立ってもいられなくなり、アクセルは腰を上げた。
「兄上、やっぱりなるべく早く帰ろう。さっきも言ったように、ロキの息子がまたいつ襲ってくるかわからないし」
「そうかぁ……。もう少し休んでもいいと思うけど、お前がそういうならそろそろ行こうか」
兄も座っていた石から立ち上がり、愛刀を腰にぶら下げる。
――そう言えば兄上の神器、まだ見たことないな……。
兄の神器は武器ではなく何故か魔法の船(のレプリカ)らしいが、どこでどうやって使うのだろう。水上戦でもあれば重宝するだろうけど、ヴァルハラに来てから水上戦の訓練はほとんどしてこなかったし……。
「なあ兄上、ラグナロクって水上戦あるかな」
ひたすら山を歩きながら、何気なく話を振ってみる。
すると兄は、少し首を捻って答えた。
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