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第532話(フレイン視点)

「さすがに考えすぎかなぁとも思うけど、力を手に入れるために自分の目を抉ったり、自分自身を世界樹(ユグドラシル)に突き刺したりするような神様だから、やりかねない気もするんだよねー。そう考えれば、ラグナロクを起こした理由もなんとなーく説明がつくというかー」 「……なるほど。かなり極端な考えですが、全くの的外れでもない気がしてきましたよ」  と、ユーベルが納得したように天を仰ぐ。 「生前わたくしは戦場で命を落としましたが、誰に負けたかは曖昧なままでした。何せ背後からいきなり頭を割られ、そのまま戦死しましたからね。油断をしていたわけでもないのにそんな風に戦死したので、ずっと妙だなと思っていたんです。これでも生前は、一騎当千の強者でしたからね」 「ユーベルもか? 実は俺もなんだ」  と、ジークも話に乗っかる。 「ヴァルハラには仰天するような強者がたくさんいるが、俺も生前は無双の活躍をする戦士だったんだぜ? 槍を使わせたら右に出るものはいないとも言われてたし。そんな俺が、背後から槍に貫かれて死ぬなんておかしいだろ」 「あなたはオーディン様の神器に貫かれたのでしょうね。神槍・グングニルは投げれば必ず命中すると聞きます。わたくしはさしずめ、トール様のミョルニルでしょうか。あれは雷の鉄槌ですよね」 「みんな、わざと殺害されてヴァルハラに来たんだね……。かくいう私もそうだったよ」  そう呟いたら、ジークがしたり顔で頷いた。 「オーディン様はそうやって地上の強者を選別し、自分の眷属に加えていたんだ。そういうことを当たり前にやっちまうなら、心配のタネを取り除くために自分以外の全てを滅ぼそうと考えるのも不思議じゃない」 「……ということは、オーディン様を止めない限り、ラグナロクは永遠に終わらないってことか。しかも、いずれ私たちもまとめて滅ぼされる……厄介だね」

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