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第535話
「兄上、好きだ……」
「うん、私も大好きだよ」
「ずっと一緒がいい……どんな世界に行っても、ずっと……」
「もちろん。ずーっと一緒だよ」
兄も両腕でしっかりと抱擁を返してくれる。千切れた左腕も元通りになっていたので、心底よかったと思った。
「ひゅー。相変わらずラブラブー」
「えっ? ……うわっ!」
水面からにょきっとミューの顔が生えてきて、驚きのあまり水の中で転倒してしまった。ゴボッと一気に息を吐き、手足をばたつかせながら水面に浮上する。
「み、ミュー!? いつからそこに!?」
「ずっといたよー。みんなでいろいろ話し合ってたところなんだ」
「みんなって……」
「よう、弟くん。元気か?」
「おぼっ……!」
いきなりジークに話しかけられ、再び水中に転倒しそうになる。
何とか踏みとどまって周りを見たら、ミューやジーク、ユーベルまでもが一緒に水浴びをしていた。
「み、皆さん無事だったんですか……」
「まあな。こう見えても俺たちは歴戦の猛者だぜ? そう簡単にやられると思うなよ」
「それはともかく、地下の居住スペースはあまり広くありませんので。発散するなら外でやってくださいよ? そうやって見せつけられるのは迷惑ですから」
「はっ……え!?」
サラッとそんなことを言われ、みるみる頬が熱くなる。バツが悪くなって兄から離れようとしたのだが、兄はしっかりこちらを抱き締めて離してくれなかった。
「ところで、このうさぎちゃんはアクセルのペット? 可愛いね」
ペロペロキャンディーをピピに差し出しているミュー。
だがピピは警戒心MAXでそっぽを向き、決して口を開けようとしなかった。
「ピピちゃん、ここまで一生懸命走ってくれたんだよ。ピピちゃんがいなかったら、お前本当に死んでたかも」
「ああ、そうだな……」
アクセルはピピに近付き、手を伸ばして毛並みを撫でた。ピピも鼻面をすり寄せ、嬉しそうに目を細めてくる。
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