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第537話
今実力を落とすのは致命的なんだけどな……と思いつつ、アクセルも泉から出ようとした。
ところが……。
「……うわっ!」
兄に腕を掴まれ、泉の中に引き戻されてしまう。そのまま背後から抱き締められ、アクセルは首を捻って兄を見た。
「あ、兄上!? 何してるんだ、こんなところで!」
「まあいいじゃない。食事の前にちょっとだけ」
「はあ!? たった今食事しに行こうって言ったばかりじゃないか!」
「言ったけど、このまま地下に潜っちゃうのはもったいないかなって。居住スペースって寝る場所も狭いんだよ。お前がすぐ隣で寝てるのに、我慢できる気がしないんだ」
「ちょっ……! だめだって、他の皆さんもいるのに……!」
兄を押し退けながらジーク達に目をやったものの、彼らは動揺した様子もなく、いつもの口調で答えた。
「なんだ、発散してから行くのか? ほどほどにして戻ってこいよ? でないと食事なくなるぞ」
「心配するだけ無駄ですよ、ジーク。お盛りな二人には、リアルな食事など必要ないかもしれませんし」
「それもそうか。終わった頃には腹いっぱいになってるだろうしな」
生々しい話を、世間話のように繰り広げている二人。
それだけでアクセルは顔から火が出そうだったが、ミューがとんでもないことを言い出したので本気でめまいがした。
「ねー、僕見学してていい? というか、ちょっと悪戯したい」
「ふぁッ!?」
「アクセルって3P経験したことなさそうだよねー。いつもフレイン相手ばかりじゃつまらなくない? 僕も加わってあげよっか?」
「っ……!?」
加わるって何だ!? 3Pってまさか、二人同時に攻められるプレイのことか!? そんなとんでもないプレイがあるのか!? 兄に抱かれるのはともかく、それとは別の誰かからも攻められるなんて冗談じゃない。恥ずかしすぎて憤死してしまいそうだ。
誰か止めてくれ……! と思っていたら、意外な人物が待ったをかけた。
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