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第539話*

 官能的な熱が溜まりそうになり、慌てて兄の手を引っ掻く。 「だめだって……! ピピだって近くにいるのに……!」 「そう? ……じゃあピピちゃん、ちょっとその辺を走ってきてくれるかな。今から弟と大事なことをしなきゃならないから」 「ぴ?」 「一時間したら戻っておいで。敵に見つからないように気をつけてね」 「ぴー」  兄の言うことを素直に聞いたピピは、そのままぴょんぴょん跳ねて泉から離れていってしまった。 「ちょ、ピピ……! 行かなくていい! 戻ってきてくれ! ピピ!」  一生懸命呼んだけれど、既にピピは完全に遠ざかって姿が見えなくなっている。  素直なのは結構だが、そこは兄の言うことじゃなくて自分の言うことを優先して欲しかった。 「ふふ、やっと二人きりになれた。あまり時間をかけられないのは残念だけど……その分、濃密な時間を過ごそうね」 「っ……」  うなじに舌を這わされ、再びびくっと身体が跳ねる。身体が跳ねる度に泉の水もバシャッと飛び散り、中心に妖しい熱が集中し始めた。  ――ほ、本当にここでやるつもりなのか……!?  外でやるのは初めてだ。ましてや、いつ誰が来るかもわからないような泉の中で。山や森のように視界が遮られる場所ならともかく、こんなところでは身を隠せる場所もないではないか。万が一誰かが来たらどうする気だ。  そんな羞恥も相まって、アクセルは真っ赤になりつつ兄の手を掴む。 「あ、兄上、これ以上は本当に……」 「そう言えばお前、さっきジークに見惚れてたよね」 「えっ……!? いや、そんなことは……」 「嘘言ってもだめ。ジークの身体見て溜息漏らしてたの、聞こえたもの。やだなぁ、他人の身体に見惚れるなんて」 「そ、それは……決して見惚れていたわけでは」 「そんな目移りしちゃうようないけない子には、ちょっとお仕置きしてあげないとね」 「なっ……あ!」  いきなりズボンごと下着を下ろされ、尻を剥き出しにされてしまう。肌に直接水が触れて、思わず鳥肌が立った。

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