563 / 2012
第563話(フレイン視点)
「まず暁の塔。ここは光の妖精の国にある塔なんだが、いかにも……って雰囲気がぷんぷんしている。警備も固いから、何かがあると踏んで間違いないだろう。次にトキの神殿。ここは巨人族の神殿の中でも特別な場所らしいが、これも何かがあると思っていいはずだ。後は……死者の国 の最深部だな」
「死者の国 かぁ……」
フレインはこっそり顔を引き攣らせた。
死者の国は、国全体に身体を蝕む瘴気が漂っている。しかも最深部になればなるほど瘴気が濃くなっていく仕組みなのだ。
死者の国の女王 でさえ何らかの装備をしないと最深部には行けないと言われているのに、生きている者が到達できるはずもない。おそらく、一分も経たずに肺が壊死してしまうだろう。
「それに、我々は全員前科持ちですからね。本来なら、死者の国 に足を踏み入れることすら許されない。戦場で死ぬ等の正規の方法で招かれない限りは、あちらに行くこともできないでしょうね」
「でもさー、それって結局自分は死ななきゃならないわけでしょ? 死んで死者の国 に行って、それで石碑を破壊して存在も抹消されて、いいことナシだよねー。何の罰ゲームかと思うよ」
「……だな。てなわけで、死者の国 は後回しだ。まずはここから一番近い暁の塔を攻略する。表門の警備はちょっとやそっとじゃ突破できそうもないが、実は秘密の隠し通路があるらしい。なんで、表門は囮部隊に派手に暴れてもらって、その隙に精鋭部隊が隠し通路から素早く最上階まで到達する……って作戦だ。……もっとも、最上階に石碑があるとは限らないけどな」
「なるほどね……。それで、暁の塔を攻略してる時にたまたま戦死したら、そのまま死者の国 で石碑探し……ってわけかな?」
「まあ、それが一番効率いいでしょうね。ただし、石碑を見つけても破壊してはいけませんよ? 然るべきタイミングが来るまでお預けです」
「……そうだね。アクセルにもしっかり言い聞かせないと」
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