565 / 2013
第565話(フレイン視点)
上りながら、これからのことをあれこれ考えていたら、いつの間にか階段の出口に辿り着いていた。
――で、あの子は……。
暗い中をぐるりと見回してみる。出入口から割と近いところに、白いふわふわの塊があるのを見つけた。
「おや、ピピちゃん……」
「ぴ……」
ピピがピンと耳を立て、こちらに目を向けてくる。
フレインが近づくと「なんだあんたか」とでも言うかのように、興味なさげに地面に寝そべった。アクセルが現れると大喜びして駆け寄って行くのに、えらい違いだ。……まあいいけど。
「ところでピピちゃん、アクセルは……」
そう尋ねかけた時、ピピの腹部で誰かが寝転がっているのを見つけた。目を凝らして見たら、やはりアクセルだった。ふわふわの毛並みに寄り掛かりつつ、無防備な寝顔を晒して爆睡している。フレインが近づいても起きる気配はない。
――あーあ……またこんなところで寝ちゃって……。
疲れているのはわかる。だが、寝るのならちゃんと安全な場所で寝て欲しい。こんな何もない外で、無防備な姿を晒すものではない。
まあ、今はピピが側にいるから安心しきっているのかもしれないが……。
「やれやれ……」
フレインはそっと弟の隣に腰を下ろし、自分もピピに寄り掛かった。思った以上にふかふかで暖かかった。これは確かに気持ちいい。一度寄り掛かったらあっと言う間に爆睡してしまいそうだ。さすがにちょっと眠気が襲ってきた。
――まあ、私はすぐに起きられるから大丈夫かな……。
念のため、フレインはピピに声をかけた。
「ピピちゃん、誰かが来たらすぐにわかるよね? 変な音が聞こえたら教えて」
「ぴー」
ピピが小さく頷いたのを見届けて、自分も弟の隣に寝そべる。至近距離に弟の顔が見えた。起きている時も可愛いが、寝ている時はより可愛さが増していると思う。天使みたいだ。
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