569 / 2013

第569話

「あなたは常にフレインの側にいることにこだわっているようですが、例え『死ぬ時は一緒に』と誓い合った仲だとしても、それが叶うことなんて滅多にないんですよ。かつて東洋で義兄弟の契りを交わした三人の男たちも、結局叶わずに非業の死を遂げたと聞きます。わたくし自身もそうでした。生前、そういった誓いをしてもいいくらいに仲のいい友がいましたが、その友はわたくしを置いてさっさと戦死してしまいました。彼はオーディン様に認められるほどの強者ではなかったので、ヴァルハラにも招かれていませんでしたね。早い話が死に別れです。どんなに仲のいい間柄だとしても、それが当たり前なんですよ」 「…………」 「……話が逸れてしまいました。とにかく、わたくしは彼らの行き先について何も知りません。知っていても教えられません。あなたはここに残って、フレインたちが帰ってきた時に出す食事でも作っていればよい」 「……そうですか」  そこまで言い切られてしまっては、これ以上話をしても無駄だ。ユーベルからは何も聞き出せない。  アクセルはぺこりと頭を下げ、こう言った。 「優雅なティータイムをお邪魔してしまい、失礼しました。俺は、自力で兄を捜してきます。夜までには戻ります」 「……あなた、わたくしの話を聞いていましたか? わたくしは遠回しに『出掛けるな』と言っているんですよ? だいたい、闇雲に捜したところで見つかるはずがないでしょう。彼らが帰ってくるまで待っている方が賢明です」 「ユーベル様の言いたいことはわかります。でも、このままここに残っていたら絶対に後悔すると思うんです。ユーベル様は資材集めだと言っていましたが、本当はそうじゃないんでしょう? ただの資材集めだったら、居場所を教えられない理由がありませんし」  少し目を細めたユーベルを見て、図星だなと確信した。アクセルは続けた。

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