594 / 2013
第594話(フレイン視点)
「でもさー、あれだけ警備が薄いと、暁の塔に石碑があるのか怪しくなって来ない?」
と、ミューがハチミツを舐めながら言う。
フレイン自身は、言うほど警備が薄かったとは思わない。けれど、世界の命運を左右するものがあるのなら、もう少し警備が厳重でもおかしくないなとは思っている。
もちろん、中を隅々まで攻略してみないことには何とも言えないが、今日一日偵察したら、「暁の塔はハズレかも」という方向に考えが傾いていた。正直、暁の塔には時間をかけず、さっさと次の候補地に向かいたい。
「ま、とにかくだ。攻略にしろ偵察にしろ、明日も出陣だ。さっさと寝ちまおうぜ。体力は温存しとかないと、いざという時に何もできん」
「明日はわたくしも出陣させていただきます。ずっと留守番ばかりでは身体が訛ってしまいますので」
「ということは、明日は私が留守番かい? まあいいけど……暇だねぇ」
「弟くんも留守番なんだからいいじゃねぇか。一緒に拡張工事でもやってろよ」
ジークの言葉に、それもそうか……と思い直す。
自分はアクセルみたいにDIYが得意なわけではないが、弟と一緒ならそれなりに時間も潰せるかもしれない。
「というか、アクセルはまた外で寝てるのかな。ピピちゃんが一緒とはいえ、不用心すぎるよね」
「じゃー今日はフレインも外で寝てくればー? 明日お休みなら、多少寝過ごしてもいいでしょ。……あ、そういう意味では、お留守番するのもいいなー」
「ミューは留守番だとエネルギーがあり余りすぎて暴れかねないので、留守番になることはないと思いますね」
「違いない。せっかく作った地下施設を破壊されちゃかなわないからな」
「さすがにそんなことはしないと思うけどな~……」
などと軽口を叩きつつ、三人は席を立った。
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