598 / 2013

第598話*

 ――兄上の意地悪……!  そう怒鳴りたかったけれど、怒鳴ったところで兄を止められるとは思えない。  仕方なくアクセルは小さく口を開き、先端をちろっと舐めた。  途端、隙を突くように兄がぐいっと欲望を突っ込んできて、先端で喉奥を突かれてしまう。思わず噎せそうになった。 「う……ごほっ、む……ぐ」 「うん、いい子いい子。もっと舌を使ってごらん」 「んんっ……!」  生理的なえずきを堪えながら、アクセルは一生懸命舌を這わせた。頬を窄ませ、程よく締め付けつつ、浮き上がった血管を舌でなぞり、先端に軽く歯を立てる。そうやって刺激する度に兄の欲望がぴくぴく震え、口の中でまた一回り大きくなった。 「うっ……ん、んふ……う」 「お前、口でするのも上手だよね。そんなに経験はないはずだけど、人質に行ってる間に練習でもした?」 「っ……」  してない、と小刻みに首を横に振ったら、兄はにこりと微笑んで言った。 「そうか、じゃあ飲み込みが早いのかな。お前はもともと器用で筋がいいから、ちょっと経験すればすぐに上手になるんだね」 「……うっ」 「私としても教え甲斐があるよ。お前が賢い子でよかった。……まあ、馬鹿正直で素直すぎるのはちょっと気になるところだけどね」 「むぐっ……!」  再び奥まで男根を突っ込まれ、苦しみに眉根を寄せる。  そうして呻き声を上げる度に、寄り掛かっているピピが小さく身じろぎするものだから、アクセルとしては気が散って仕方なかった。  ――ああもう、絶対ドン引きされてるよこれ……!  今のところ何も言ってこないものの、アクセルたちが何をしているかはとっくにわかっているはず。ピピからすればものすごく迷惑な行為だ。  早く終わらせなければ……という一心で、必死に兄を刺激する。届かない根本は手も使って扱き、滲んできた粘液を唾液と一緒に吸い上げた。

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