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第655話*

「あ、あ……兄上、もう……っ」 「うん、いいよ……一緒に行こうか……」 「ああ、一緒に……」  アクセルがごくりと喉を鳴らす。兄もドクン、と中で脈打った。 「あっ、んん――ッ!」 「っ……」  極めたのはほとんど二人同時だった。自分の熱が体外で弾け、それを補うように兄の熱も体内に注ぎ込まれた。心なし普段より量が多く、遺伝子もいつも以上に濃いような気がする。  股間で爆発した自分自身も、思った以上に官能的な刺激を溜め込んでいたようで、生温い白濁が勢い余って胸元まで飛び散ってしまった。 「ふ……く……」  腹の中で熱い奔流がうねっている。下腹部が体液でいっぱいになり、一気に圧迫感と苦しみが増す。目がチカチカして意識も霞み、思わず失神しそうになった。  そんな朦朧とした意識の中でも、アクセルは確かな幸福に打ち震えていた。  ――ああ、幸せ……。  敬愛する兄が、こんなにも自分のことを愛してくれる。惜しみない愛を与えて、何よりも大事に慈しんでくれる。そのことが嬉しくて誇らしくて、幸せだった。  そんな兄に自分はほとんど何も返せていないけれど、それならせめて、何があっても側にいてあげたいと思う。兄が二度と寂しい思いをしないように、共に笑って共に泣いて、時には喧嘩したりして、いつまでも一緒にいたい。  自分の存在意義をあえて見出すとしたら、自分はきっとそのために――強くて綺麗で優しくて、でも実は寂しがり屋でうっすらとした影を持っている――そんな兄に寄り添うために、生まれてきたのかもしれないなと思う。 「うっ……」  兄がずるりと己を引き抜き、ようやく圧迫感から解放された。緩んだ窄まりから兄の残滓が漏れそうになったので、慌てて尻に力を込めて口を閉じた。 「……ありがとう、アクセル。満足したよ」 「兄上……」 「立てるかい?」  兄に優しく抱き起こされ、アクセルはぐったりと身体を預けた。  いきなり挑まれたのは不本意だが、兄が満足したならまあいいか……という方向に考えが及びかける。

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