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第671話

「というか、本当にあなたは何者なんだ? ただの予言の巫女じゃないよな? 俺と何の関係があるんだ?」 「何って何? 私とあんたは無関係よ」 「残念ながら、俺にはそうは思えないんだ。そもそも、あなたの言動には不可解なところがたくさんある」  そう言ったら、巫女は顔を強張らせた。アクセルは更に言った。 「あなたはさっき、俺のことを『随分賢くなった』と言っただろう。これは以前から俺を知っていなければ出てこない言葉だ。それと、『自分から名乗るのが礼儀』とかいう時、あなたは何故か『お兄ちゃんに教わらなかったのか』と言っていた。普通だったら、『お母さんに教わらなかったのか』と聞くはずのところ、『お兄ちゃん』と言ったんだ。つまりあなたは最初から、俺が母ではなく兄に育てられたことを知っていたということになる」 「だ、だから何よ? それを知ってたからって、別にあんたには何の関係も……」 「いや、おかしいだろ。俺は神でも巨人でもない、ただの人間だ。オーディン様の眷属(エインヘリヤル)に選ばれたとはいえ、何億も存在している人間のうちの一人にすぎない。予言の巫女のような大層な方に、注目される要素は何もないんだ」 「…………」 「なのに何故あなたは俺の……いや、俺たちが育った環境まで知っているんだ? あなたは昔から……それこそ、俺たちがヴァルハラに来るずっと前から、俺たちのことを見ていたということか?」  そう言いつつ、自分でも突拍子もない推論だと思った。神ですらなかなかお目にかかれない予言の巫女が、自分や兄を幼い頃からずっと見ていたなんてあり得ない。「人間ごときが思い上がるんじゃないわよ」と鼻で笑われそうだ。  ただ一方で、この推論が全く的外れというわけでもないだろうとも思っていた。  彼女の言動が不可解なのは事実だし、母の顔と同じという点も気になる。もしかしたら本当に、自分たちと何か関係があるのかもしれない。  もう何を言われても平気だから、ここまで来たからには正直に全部話して欲しかった。

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