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第715話(フレイン視点)
――私もあまり酔わない方だけど、悪酔いしないよう気をつけなくちゃ……。
酔っぱらって寝ている間に、万が一アクセルが起きてしまったら大変だ。弟が復活するまでは、節制した生活を心掛けないと。
そんなことを考えつつ、フレインも三人と一緒に少しだけ酒を味わった。
ケイジがくれた酒は米から作られているらしく、すっきりした後味と爽やかな風味が美味しかった。これは確かに、枝豆やチーズなどのしょっぱいツマミがよく合う。
「アクセルはあと何時間で復活するのかなー?」
と、ミューが言う。
「ほぼゼロからの蘇生だから相当時間かかりそうだよねー。一日や二日じゃ足りないかも?」
「かもしれませんねぇ。元になるのは弟君の欠片だけですから」
「あーそれな。オーディン様も言ってたけど、肉体がない者を復活させるのはかなり大変らしいぜ。どのくらいで復活するか、未知数なんだと」
「別にかまわないよ。私はあの子が起きてくるまで待つだけさ」
おとなしく待っていればアクセルが復活するのだから、今はひたすら待つしかない。
もちろん、いざアクセルが起きてきた時に困らないよう、部屋の片付けをしたり買い出しをしたり、弟のための家具を用意する必要はある。
――やっと二人で暮らせるようになるんだもんね。
そのことが無性に嬉しかった。いろんなことがあったけど、ラグナロクを乗り越えてようやくひとつ屋根の下で暮らせるようになるのだ。そのためなら、数日待つくらい何でもない。
むしろアクセル用の生活雑貨を買い揃えるのが、楽しみですらあった。
「ねえ、誰か明日買い物に付き合ってくれない? 荷物が多くなりそうなんだ」
「あ、じゃあ僕が行くー! 死合いも仕事もなくてヒマだったんだー」
「それはいいですがミュー、気をつけた方がいいですよ。フレインのことですから荷物持ちをさせられる可能性があります」
「大丈夫だよ、大事なものは持たせないから」
ミューに持たせたら、せっかく買ったものが壊れてしまう可能性がある。
フレインは盃を傾けながら、何を買おうかあれこれ考えていた。
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