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第727話

「……あ」  太刀の横に、それより一回りくらい短い小太刀が置いてあるのを見つけた。  もしやと思い、アクセルは試しにそれを手に取ってみた。  ――これは……!  予想以上だった。びっくりするほど手に馴染む。重さといい、握り心地といい、慣れ親しんだ感覚が掌から直接蘇ってきた。 「俺の武器、もしかしてこれですか?」 「おお、大正解! 覚えてたの?」 「いえ、全然覚えてないんですけど……妙に手に馴染むというか、しっくりくるというか。身体で覚えたことは忘れてないみたいです」 「なるほど、身体は覚えてるのか……」 「……?」  思わせぶりに首をかしげるフレイン。  何かと思っていると、フレインは唐突にこちらの腰に腕を回し、ぐっ……と引き寄せてきた。腰同士が密着し、目と鼻の先に綺麗な顔が見える。呼気を感じるほど近くまで接近され、反射的に心臓が跳ね上がった。 「あ、あの……フレインさん……?」  何をするつもりだろう。ドキドキが止まらない。  今の流れからすると身体に何かするってことで、その「何か」っていうのはつまり、あんなことやこんなことになるわけで……。  ――って、俺とフレインさんってそういう関係だったのか!?  仲良し兄弟ってそういう意味!? 身体の関係まで持ってたってこと!?  ちょっと衝撃ではあるが、一方で何となく当たり前に思っている自分もいた。  フレインは綺麗で優しいし、腕っぷしも強いから憧れの対象になるのは理解できる。男同士だからどんなにやりまくっても妊娠することはないし、じゃれ合いの延長だと思えば何もおかしくない。……多分……。  ――そうか、ここでフレインさんに抱いてもらえば、記憶も取り戻せるかも。  全然覚えてないから少々不安ではあるものの、早く全てを思い出したいのは事実だ。このままではフレインに申し訳ないし、生活にも支障が出てしまう。

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