737 / 2296

第737話

「それよりお前の死合い、三日後だったね。どう? イケそう?」 「あ、三日後なんですか……」  掲示板の前に立った途端アンリに声をかけられたので、結局スケジュールを確認し損ねていた。いろんな場面で、自分は間が抜けているなと思う。  フレインは続けた。 「相手は真ん中くらいのランクだったけど、お前の実力なら楽勝のはずだよ。狂戦士モードになる必要もない。……あ、でも今のままだとちょっと不安だから、もう少し身体を鍛えておいた方がいいかもね」 「はい、わかりました」 「よし、じゃあまた鍛錬の続きをしようか。今度は私も付き合うよ。私も明日死合いがあるし」 「あ……ありがとうございます。よろしくお願いします」  フレインと鍛錬できるのは嬉しい。彼がどのくらいの体力・技術を持っているか見られるし、戦い方の参考になる。狂戦士モードについても教えてもらえるかもしれない。  そう思って、アクセルはフレインと庭に出た。留守番していたピピは、待ちかねたようにこちらに走り寄ってきた。身体は大きいけれど、大喜びでこちらにすっ飛んでくる姿は純粋に可愛らしい。癒される。 「さてと、まずはウォーミングアップで軽くランニングかな。ピピちゃんもついておいで」  そう言って、フレインは広い庭を走り出した。  アクセルも後ろからついて行ったが、何周してもフレインが足を止めないので、だんだん息が切れてきた。  ――軽くって、どこが軽くなんだよ……!  もう何キロ走ったかわからない。フレインの体力は一体どうなっているのだろう。  それとも、上位ランカーにとってはこれくらい当たり前なのだろうか。ウォーミングアップでこんな調子じゃ、本格的なトレーニングはついて行けそうにない。 「さてと、こんなものかな」  ようやくフレインが足を止めた時には、アクセルは全身汗だくになっていた。ぜいぜいと何度も深呼吸をしている傍ら、フレインは軽く汗ばんでいる程度である。彼の体力は本当にどうなっているのか。

ともだちにシェアしよう!