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第738話
「フ、フレインさん……すごいスタミナですね……」
「そう? お前が鈍ってるだけじゃない?」
「それもあるかもしれませんが……さすが、上位ランカーの体力は恐ろしいです……」
そう感心していたら、フレインはしれっとこんなことを言い出した。
「まあ、お前と寝る時もほとんど私が上だったから、スタミナがないと続けられないってのはあるね」
「……え?」
「お前が上だった時も数回あるけど、そういう時は大抵一回で終わっちゃって、私としてはちょっと物足りなかったなぁ。お前も決して体力がないわけじゃなかったけど、私の方が持久力があったのは事実だね」
「そ……そうですか……」
……そう言われると、体力がない不甲斐なさより恥ずかしさの方が勝ってしまうのだが。
――とにかく、どうにか身体の鈍りを解消しないと……。
アクセルは額の汗を拭い、フレインお手製のはちみつ入りレモン水をがぶ飲みした。
このレモン水には塩もちょっとだけ入っていて、運動後の水分補給には最適である。味も美味しいので気に入っていた。
「ところで、俺のランクって今のところ最下位ですけど」
「ああ、そうだね。でもお前ならすぐにランク上がると思うよ」
「それなんですが、ランクっていつどうやって上がるんですか? なるべく早く上げないとマズいですよね?」
「一ヶ月ごとに死合い等の成績によって決まるけど……焦る必要はないんだよ?」
「だけど、下位ランカーは上位ランカーにセクハラされるって聞きまして……」
「あー……そういうことね……」
と、フレインは自らもレモン水を飲んで、言った。
「見栄えのいい下位ランカーが上位ランカーにセクハラされるってのは本当だよ。以前よりはだいぶ少なくなったけど、今でもたまに路地裏に連れ込まれている子を見かけることはある。せっかく公式娼館ができたんだから、やりたいならそっちに行けばいいのに」
フレイン曰く、ラグナロク以前のヴァルハラには娯楽施設のような場所がほとんどなかったらしい。でもそれだと様々な問題が生じるということで、ラグナロク後に娯楽施設をたくさん作ったのだそうだ。アンリに案内された娼館も、そのうちのひとつだ。
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