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第749話
「アクセルも、フレイン様とデートするなら早く行ってやれば? 待ちわびてると思うよ」
「ああうん、そうだな。じゃあ、また」
チェイニーと別れ、スタジアムの外に出る。
フレインはどこだろう……ときょろきょろ周りを見回していると、
「こっちだよ」
木に寄り掛かって、木陰で涼んでいるフレインを発見した。
アクセルはそちらに駆け寄り、労いの言葉をかけた。
「お疲れ様でした。すごかったですね」
「そう? あっと言う間に終わっちゃってつまらなかったんじゃないかな」
「そんなことないです。フレインさんの強さが垣間見えて、本当に感激しました。俺もあなたのようになりたいです」
「ありがとう。じゃあ、いっぱい鍛錬して強くならないとね」
「はい」
買い物が終わったら、また庭で鍛錬しよう。いつフレインと戦ってもいいように、早く追いつかなければならない。そうやって身体を動かしていれば、記憶もきっと戻ってくる。
「じゃ、お買い物に行こうか。お前に似合いそうな洋服をいっぱい買ってあげるね」
「いえ……俺は必要最低限で構わないので」
そう答えた時、フレインの上着の袖が破れているのに気付いた。よく見なければ気付かないくらい、小さな傷だ。
「フレインさん、袖が少し破れていますよ」
「あれっ、本当だ。相手の武器が掠ったかな? 油断したね」
「たまたま当たったのかもしれませんね。フレインさんも新しい衣装を買ってはどうですか?」
「買うのはいいけど、これは繕って直すよ。このジャケット、お気に入りなんだ」
「わかりました。傷は治さなくて大丈夫ですか?」
「大丈夫、こんなの怪我のうちに入らないし。放っておけば治るで……」
そう言った途端、フレインの顔色が急に悪くなった。身体を屈め、何度もえずき、胃の内容物を戻している。
「フレインさん!? フレインさん、どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」
「うう……なんか気持ち悪い……。もしかして相手の武器、毒が塗られてた……?」
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