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第753話
「おいお前、いい度胸だなぁ? 上位ランカーに歯向かうなんてよ」
「お仕置きに殺されても文句ねぇわな?」
「ちょうど棺もいっぱい空いてるし、問題ないよなぁ?」
じりじりと迫ってくる男たち。獣の首を落とすための斧が、不気味にギラリと光った。
――多対一……イケるだろうか……。
フレインとの特訓で、たくさんの丸太を切るのは経験した。それが実践に役立つかはわからないが、それでもフレインが起きるまで何とか生き延びねばならない。こんなところで自分まで棺に入るわけにはいかない。
せめてかすり傷くらいで終わらせなければ……。
「おりゃあぁぁ!」
男の一人が斧を振りかぶってきた。縦に真っ直ぐ振り下ろし、アクセルの頭をカチ割ろうとしてくる。
だが、その振りは予想以上に遅かった。
――イケる……! 太刀筋がハッキリ見える……!
アクセルは最小限の動きで斧を避けると、鞘に納めたままの小太刀を男の鳩尾に叩き込んだ。体勢を崩した男にかまわず、続けざま一番近くにいた男の頭をぶん殴る。
一気に二人の男を昏倒させたことで、男たちは驚愕に目を剥いた。だが、すぐさま逆上して武器を振り上げると、こちらに向かって一斉に襲い掛かってきた。
「死ねオラアァァ!」
「ズタズタに切り刻んでやらァ!」
ブン、と斧が空気を裂く。やはり攻撃速度はたいしたことがなく、複数人相手でも見て避けることが可能だった。
これならイケる、と思い、再び急所に小太刀を叩き込もうとした瞬間、視界の端にフレインの衣装が映った。フレインが起きてきた時、すぐさま着替えられるよう、あらかじめ棺の側に畳んで置いておいたのだ。
――あっ、駄目だ……!
ここで男を昏倒させたら、フレインの衣装を踏まれてしまう。叩きのめすならもっと離れたところでやらなければ……。
その一瞬の躊躇いによって、大きな隙が生まれた。
背後の男が横に斧を薙ぎ払い、身体を捻って何とかそれを避けたものの、バランスを崩して足元がよろけた。
――マズい……!
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