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第758話

 するとフレインは穏やかに笑った。 「お前は負けないと思うよ。何度も言うけど、九七六位なんてたいしたことないし」 「そりゃあ、フレインさんから見ればさほどの相手じゃないかもしれませんが、俺にとっては……」 「いや、真面目な話、九七六位と今のお前の実力はほとんど同じだと思うよ。前に言わなかったっけ? ルールが変わって、実力が拮抗している戦士が対戦相手に選ばれやすくなったって」 「あ……そうでしたっけ?」 「そうなんだよ。まあ私の死合いは例外だったけど、贔屓目抜きで見ても、お前は最下位にいるのがおかしいくらい強い。棺の前で複数人の男と戦って、一撃も受けなかったことがその証拠だ」 「あれは……あの男たちが本当にたいしたことなかったので」 「あの連中はみんなお前よりランクが上だよ。しかも多対一で十分対応できてたんだから、一対一でお前が負けるはずがない。もっと自信を持ちなさい」  フレインがこちらに近づき、肩を叩いてくる。 「大丈夫、お前は強い。この程度の死合いで負ける人じゃないよ。早く強くなって私と死合いたいんだろう?」 「ええ、それはもちろん……」 「だったら大丈夫。ガチガチに緊張して実力が出せなかったとか、そういうことがなければ普通に勝てるって。ま、お前は一度死合いが始まると開き直るタイプだから、緊張とも無縁だと思うけどね。まあ頑張って」 「はい……ありがとうございます」  アクセルは頷き、フレインからもらったタオルで汗を拭った。  油断は禁物だけど、彼に「大丈夫」と言われるとちょっと自信が出て来る。絶対に勝って、少しでもフレインの期待に応えなければ。 「ところで、死合いが終わったら紅葉狩りに行かない? この時期、美味しい鹿肉がとれるらしいんだ。上手く狩れたら今夜は鹿肉のステーキだよ」 「あ、紅葉狩りってそういう意味なんですね……? ええ、もちろん。俺でよければ連れて行ってください」  そう言ったら、フレインは底抜けに喜んだ。

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