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第759話
そして朝食を食べて身支度を整え、いよいよスタジアムに向かうことになった。
今回は九七六位と最下位の地味な死合いなので観客もまばらだったが、フレインは「可愛い弟が久しぶりに戦うから」とボックスになっている特別席をあらかじめ押さえてあるようだった。
――そんなところでガン見されたら、逆に緊張しそうだけど……。
フレインの前で無様な死合いはできない。彼の顔に泥を塗らないよう、最後まで誇り高く戦わなければ。
そう思いつつ、フレインと別れてアクセルは裏口からスタジアムに入った。
今日の対戦相手ディーンは、背はさほど高くないが短髪でがっちりした体型だと聞く。使う武器は手斧で、投擲もできる優れものだ。
油断しなければきっと大丈夫……と自分に言い聞かせ、いよいよ死合い会場に入場する。
だが、反対側から入場してきた相手の顔を見て、アクセルはぎょっと目を剥いてしまった。
――げっ……! あの人はあの時の……!
棺で襲ってきた男たち。あの中にディーンの姿もあった。顔を確認するまで気づかなかったが、確かにディーンは自分を襲ってきた男たちの中にいた。
それがまさか、こんなところで直接対決する羽目になるとは……。
「奇遇だなぁ。まさかてめぇが相手とは思わなかったぜ」
いかつい顔でニヤリと笑ってくるディーン。
いや、こっちもあなたが相手とは思わなかったんだが……と、心の中で返答する。
「死合いでぶち当たるとは都合がいい。その生意気なツラを思いっきり痛めつけてやれるからなぁ。どんな顔で泣いてくれるのか、楽しみだぜ」
「はあ。別に泣くつもりはないんですが……」
「安心しろ。嫌でも泣かせてやるからよ」
……それは一体どういう意味なのだろう。斬られて痛いからって、さすがに泣いたりはしないんだが。
「それでは、ただいまよりアクセルVSディーンの死合いを行います……」
天からヴァルキリーの声が降ってきた。お決まりのアナウンスだ。
会場の空気もピシッと引き締まり、死合い前の緊張感が肌を伝わってきた。
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