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第767話
アクセルはちょっと苦笑して、答えた。
「……はい、もちろん行けますよ。ここから出たら、早速向かいましょう。場所がわからないので、案内お願いします」
そう言いつつ水の下で手を握ったら、フレインは「もちろんだよ」と微笑んでくれた。
死合いの傷が完治したのを確認してから、二人は泉から上がった。
本当に紅葉狩り(という名の鹿狩り)をするなら弓矢も必要になるので、一度家に戻って必要な武器を取りに行った。
「しかし弓矢ですか……。これに関しては俺、あまり得意だった覚えがないんですよね」
「だろうね。お前、飛び道具はあまり使わない子だったから。狩りの時も小太刀だけで臨んでたよ」
「そ、そうですか……。それでも、以前の俺は小太刀だけで狩りができていたんですね?」
「いやぁ、どうかなぁ? 私の記憶だと、お前初めての狩りで片足失くして大変なことになってたけど」
「げっ……! そうでしたっけ?」
「ま、それはランゴバルドに逆ギレされたせいなんだけどね」
ニヤリとフレインが笑うので、アクセルは引き攣った笑みを浮かべた。
――ランゴバルト様……何となく強烈な人だった覚えが……。
確かランキング二位の戦士だったか。非常に好戦的で、下位ランカーを「雑魚」だとみなす傾向が強かったと思う。
初めて狩りに参加した時も、引率の上位ランカーがたまたまランゴバルトだったせいでエライ目に遭ったんだった。
「あー……なんか思い出してきましたよ。ものすごい大きな猪に追いかけられて怪我した挙句、ランゴバルト様に半殺しにされた覚えがあります……」
「それそれ。ランゴバルト、強いけど気難しいからねぇ。お前も彼と遭遇した時は気をつけた方がいいよ」
「ええ、そうですね……」
さすがに狩りの最中に自分が狩られるのは御免である。
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