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第773話

「じゃあ今日の夜になってそれでも気持ちが変わらなかったら、一緒のベッドに入ろうか。もちろん、そういう気分じゃなくなったら何事もなかったように違うベッドで寝てくれて構わないから。ね?」 「いえ、大丈夫です。俺の気持ちは変わらないので」  そう言い切ったら、フレインは嬉しそうに微笑んでくれた。  そうして二人は、狩りそっちのけで夕方までハイキングを楽しんだ。  家に帰ってピピに食事を与えつつ、山に行ってきたことを話したら、「何でピピも一緒に連れて行ってくれなかったのか」と拗ねられた。今度山に行く時はピピも誘ってあげよう……。 ***  その夜。アクセルはドキドキしながらフレインのベッドに入った。粗相があってはいけないので、寝る前に念入りに風呂で身体を洗った。今はフレインが風呂に入っているところである。 「ありゃ、もう寝てたのかい?」  しばらくして、フレインが寝室にやってきた。寝間着姿のまま、細くて綺麗な金髪を拭いている。それだけでも色気があって、またドキッとしてしまった。 「そこまで気持ちが固まっているならもう聞かないけど、やるからには以前と同じようにやるからね」 「はい……もちろんです」 「なーんて言っている私も、お前とやるのは久しぶりだからさ。余裕なくなっちゃうかもだけど、許してね」  タオルをベッド脇に置き、掛け布団の下に潜り込んでくるフレイン。  敬愛する兄の匂いと体温を間近に感じ、自然と緊張感が増してきた。はっきりした記憶はないが、これからめちゃくちゃにされるんだろうなというのは容易に想像がつく。 「ふふ、温かい。お前がいるベッドはやっぱり違うね」 「そ、そうですか……?」 「うん。今まではずっと一人で寝てたから。入ってすぐのベッドは冷たくて、温まるまで時間がかかったんだ」  にこりと微笑み、フレインがこちらを抱き締めてくる。 「でもお前が隣にいてくれれば、もうベッドの冷たさを気にする必要はないんだね」 「俺も……兄上がいてくれれば安心して眠れそうです」

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